人生わりかし後悔しています。

中高生、中高一貫校の生徒、浪人生、大学生、その親などに向けたブログです。学習や受験に関すること、塾や予備校のこと、引越しや一人暮らしのことなどについて書きます。

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大学の先生って何するの?

誤解してはいけない!大学の先生は2種類いる

ノーベル賞のニュースが入ってくる季節になりました。受賞した研究者が言っていることは、私たち一般人、とりわけ文系の人にとっては馴染みがなく、理解しがたいと思います。じゃあ、大学に行ったらこうした気難しい話ばかり聞かされるのかといえば、それは違います。大学には、学生にわかりやすく授業をしてくれる先生もいます。わかりやすい先生の多くは研究よりも指導に注力していて、時々、研究のための長期休暇を取得しています。つまり、大学教授は研究特化の人と指導特化の人がいるのです。では、大学の教授が指導以外にしている仕事とはなんなのでしょうか?

 

 

大学教授の仕事

大学教授は、研究以外にも多くの仕事を抱えています。

授業

大学の授業をするのは、教授と講師を含む教員です。1年生向けの入門の授業ではほとんど知識のない人に教えなければならないため、噛み砕いてわかりやすく説明することが求められます。研究特化の先生*1の中にはこれが苦手な人も多いです。中には、天才肌のため、わからない人がなぜわかっていないのかを理解できないという人もいるようです。


それから、授業に対する先生の関わり方は、高校までとは違います。高校までと違い、プリントの配布などは先生の仕事ではありません。最近では、大学の設備もハイテク化しているので、若いTA(ティーチング・アシスタント*2に研究室を訪問し、直接質問をすることもできます。ただし、計算問題の質問などは、TAが代わりに受けることも多いです。理系や、経済学などの数学を使う文系の授業ではTAが授業外で特別な演習授業をすることもあります。

 

課題や試験を課す

課題や試験を課すのも教授の役目です。ただし、人数の多い授業では、TAに採点・添削させる人がいます。総論・概論(広い分野)の授業は人数が多いので、忙しい教授には捌き切れないのです。でも、論文を見て、あるいはプレゼンテーションやディスカッションの報告を聞いて評価をするのは教授です。計算問題や選択問題など答えが単純なものはTAに任せ、教授は判断が求められるものの採点に集中するのです。

 

公演をする、会議に出席する

大学教授は、話すことで研究内容を学生や一般市民と共有します。市民向けのフォーラムに出演したり、他の先生の授業にゲスト参加したり*3して、より多くの人に研究を知ってもらおうという考えの先生もいます。必ずしも研究のことではありませんが、教会でも話すことがあります。教授には、研究以外にも、自分の見識を発表する場があるのです。

 

大学行政に携わる

大学の中で役職を持っている先生もいます。授業を管理する仕事や、学生の課外活動を統括する仕事、あるいは学長なども教授が務めています。事務や広報は教員ではなく職員が行いますが、教授が取り仕切っている部分も多いです。新入生に向けて生活上の注意事項を述べているのが、実は教授ということもあります。あなたがオープンキャンパスや学園祭で出会ったあの大人の人も、実はただのスタッフではないかもしれません。

 

行政に携わる

特に社会科学系の教授は、政府や地方自治体で仕事をすることもあります。ある意味で研究にもなりますが、自分の研究分野を生かして、政府に助言をしたり、監視したりするようです。中にはむしろ、官僚から学者になった人や、国公立大学では、大学に出向している公務員もいます。大学は最高学府ですから、その知識・見識は国政からも求められているのです。

 

学生を指導する

学生に個別指導をするのも、教授の役割です。卒論のために指導教官がついている大学もありますが、大体は研究室を学内に持っている教授が担当します。いわゆるゼミも教授が中心になっているもので、学生が発表したことや解いた問題に対して教授が講評することがあります。ICUでは個別担任制をとっていて、1年生の頃からアドヴァイザーと呼ばれる担任が学生一人ひとりについています。アドヴァイザーは、学生と学生生活の中の問題について話すこともありますし、成績が芳しくない場合は、その話もします。

 

教授があまりやらないこと

雑用(印刷をする、機材の手配をするなど)

雑用はTAに任せることが多いです。高校までだと、先生が足りないプリントを職員室に刷りに行くというシーンがあったと思います。大学では、教授はTAに印刷を任せます*4。機材のセットアップについては上に書きましたが、事務に取りに行く段階からTAがやるパターンもあります。先生のうっかりで配布用のプリントを研究室に忘れたということがない限り、先生が不在のために授業が停止するということはありません。それから、意外なところだと、TAに簡単な実験をさせる場合もあります。文系の一般教養レベルの物理学実験などはTAでも簡単にできるのです。

 

部活に関わる

部に密接に関わるのは、芸術系やスポーツ科学系の教授ぐらいだと思います。普通の部活やサークルは、学生が自分たちで仕切るか、教職員ではないコーチが仕切ります。高校までと違い、活動のために先生の指導を仰ぐことはありません。一方で、外部イベントでの活動や、メディアの取材を受ける場合は、大学の事務所を通す必要がある場合があります。教授にはあまり関係ないことです。(教授が有名サークルについて知らなかったときは面食らいました。)

 

学生に説教をする

授業中うるさい学生に対しては注意するか怒りますが、説教をすることはありません。大学は学びたい人が来る場所ですから、喋りたい人が来る場所ではありません。授業中に喋っている人には、「質問があるのですか?」と聞いてくる先生もいます。本当に授業を聞きたくない人には、帰ってもらう他ありません。大学は、授業数が自由に変えられるので、「受けたくなくなったから辞めます」ということが容易にできます。一方で、板書やスライドに間違いがあってざわつくこともあるので、うるさいのは100%学生のせいとは言えません。大学で求められている喋りはディスカッションや質問などの建設的な喋りなのです。

 

ずっと研究室にいる

研究室を持っていても、常に大学にいるわけではない教授がいます。これは、他大学と掛け持ちしていたり、上記に挙げたような大学の外での仕事をしたりしているためです。研究分野の性質上、外部の実験施設を使ったり、フィールドワークをしたりする教授もいます。こうした理由から、決まった日が実質上の休業日になっている先生もいます。私自身も入学当初はそのことを知らずに、休業日に教授の研究室を訪ねて教授が居なかったということもありました。

 

仕事じゃないけれどこんなこともする

大学の施設でトレーニング

大学の施設のうちスポーツ関係のものは、授業がない時間帯に、大学関係者に解放されている場合があります。若い講師や外国人の教授が授業の合間に泳いできたという話はよく聞きます。トレーニングジムやプールは学生も使えると思うので、各大学に確認をとりましょう。

 

大学に家族を連れてくる

地方の大学では、教員の家族が遊びにきたり、学内に家族で住んでいたりするケースもあります。地方でなくても、学園祭などで見かける場合があります。彼らの間では、大学が生活の拠点として意識されているのでしょう*5

 

自宅に学生を招く

ICUは、教員の居住地が学内にあるので、行事期間中などに有志の学生が教員宅を訪問する制度があります。地方の大学にも同様の制度があるかもしれません。高校まででは絶対ありえませんね。もちろん、そうした住宅は結婚されて家庭を持っている先生向けなので、良からぬ関係になるということはありません。(笑)

 


おそらく教授の仕事は紹介した限りではないと思います。でも、大学の教授がただ気難しい話をするだけの人ではないことはわかっていただけたと思います。ちゃんとわかりやすい授業をしてくれる先生もいますから、安心してください。

 

*1:テレビ番組で教授・准教授が出演する際、「◯◯教授」と呼ぶことがありますが、普段は「◯◯先生」と呼びます。

*2:授業の手助けをする助手のこと。主に教授のもとで勉強する大学院生が務めているので、大学生に比べて知識が豊富です。)))にパソコンのセットアップを任せる人もいます。授業の資料(プリントやPowerPointのスライド)をTAに作らせている教授もいるかもしれません。

 

質問を受ける

大学教授は、学生の質問を受けて、そこから授業を発展させていきます。例えば、実はこういう事例もあるのだという風に授業の内容を広めたり深めたりすることができます。一方、専門ではないのでわからないとか、話した内容を学生が理解できないとかいうことが起こると、それは先生の力不足ということになります。学生が素朴な疑問や矛盾していると思った内容を投げかけることで、大学教授は自分の知識も深めることができるのです。


質問票が用意されている場合は、授業後にTAが内容をまとめて、先生に渡すこともあります。それ以外にも、学生がオフィスアワー((学生が教授のオフィスを訪問してもよい時間のことです。大学施設の窓口の開放時間もオフィスアワーと呼びます。

*3:覚えている範囲では、国際関係学の授業に核物質の専門家が呼ばれたことがあって、政治だけではなく、化学の話も聞きました。自分では話せないことを他の先生にお願いするという先生もいるようです。

*4:TAがいない場合もあります。

*5:あまり大声では言えませんが、大学関係者ではない一般の方も大学に遊びにきます。ICUの場合は子どもが遊べるような芝生があるので、休日はまさに生活の拠点になっています。

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