人生わりかし後悔しています。

中高生、中高一貫校の生徒、浪人生、大学生、その親などに向けたブログです。学習や受験に関すること、塾や予備校のこと、引越しや一人暮らしのことなどについて書きます。

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小論文・英語・現代文は暗記だけでは解けない

大学の授業は暗記を前提としない

以前、予備校の授業では、とにかく覚えることが前提となるというお話をしました。高校までの授業は、例えば、数学や理科の授業で解法を考えさせられたり、国語や英語の授業で「この形は何法でしょう?」などという先生のクイズに答えてきたと思います。でも、予備校に入ると、そういった機会は減り、「この問題は◯◯で解け!」とか「××は△△だ!覚えなさい!」みたいなこと(実際はもっと柔らかい表現ですが)ばかり言われます。


じゃあ、大学はどうなるのかといえば、概念を覚えさせます。例えば、高校の歴史や生物の問題では、「◯◯年に××したのは誰か?」という決まった質問が出てきて、「△△!」と決まったように答えるでしょう。でも、大学では、そういった質問は入門編ぐらいでしか出てきません。「以下の文章(A4数ページ)を読んで、□□について論じなさい」というような問題がでてきます。


もちろん、個別の用語を知っている必要はありますが、かるたとりのように脊髄反射で解くことは難しいです。概念を包括的に理解し、言い換えれば、1つのテーマを全体的に理解し、そこから必要な知識を取り出さなければいけません。つまり、暗記をしてピンポイントの問題を解くことは大学では求められていないのです。このような問題を前に挫折しないためにも、考えながら勉強をする必要があります。

 

 

物事に対して意見を持つ

物事に対して意見を持つことは重要です。なのに、受験国語・受験英語では、意見を持つことは求められません。それどころか、受験に関係ないときの数学や理科の授業には、もしかしたら意見を発する機会すらないかもしれません。でも、思い出してみてください。幼稚園の頃、あるいは小学生の頃、動物園の動物や図鑑を見て、いろいろな感想を持ちましたよね?あるいは、科学の実験をして、不思議だなと思ったりしませんでしたか?


中学・高校の勉強では、このように意見を持つということが忘れられている節があります。「ここ大切!」でも、「何これ意味わからない!」でもいいです。何か意見を持ちましょう(そして、メモしましょう)。教科書から飛び出して、本や映像などで学習することも大事です。教科書や先生に誘導されて覚えるロボットになるのを防ぐことができます。

 

全く意見のない小論文はありえない

逆に、予備校式の小論文で「意見」さえも覚えてしまう(「こういう問題には◯◯と書け!」)というのは大変愚かなことです。もちろん、大学の期末試験であっても試験は試験ですから、授業中に習ったことを使う必要はあると思います。でも、事実だけを並べ立てて何も評価しない*1というのは、小論文とは違うと思います。「このタイプの質問はこういう結論を求めているからこう書けばいいんだ」なんて言っていると、中身のない空虚な小論文が出来上がります。そうではなくて、自分の価値観を軸に、事実を利用しながら問題に答えるのが小論文です。

 

テーマに関連する本を読む

価値観を形作るために必要なのは、知識を蓄積することです。知識がなければものの良し悪しがわかりません。もちろん受験で小論文を使わないという人も多いと思いますが、受験科目、特に現代文や英語で出てくるテーマに関連する本は読んでみたほうがいいかもしれません。


そんなもの暗記すればいいって……?たしかに、いい暗記本では、頻出テーマ集などといって、そのテーマの背景や用語(例えば、考古学や医療など)を掲載しています。でも、それは本質的な理解には繋がりません。なぜなら、暗記本は知識を線で繋いでいるに過ぎないのです。将来求められる知識は、蜘蛛の巣ネットワークのはずですから。


まずは簡単な新書*2を読んで、ある程度の知識を蓄えましょう。そうすれば、自分の中に何らかの意見が生まれるはずです。このように、知識を蓄えると、その物事に対して、自分の軸を手に入れることができます。

 

自分の考えがあったら筆者の考えがわからなくなる!?

「ん?」と思った人もいると思います。現代文も英語も、求めているのは「筆者の考え」を理解することです。一見、自分の意見を持ってしまったら、筆者の意見がわからなくなるのではないかと思えます。でも、あなたはお喋りするときに自分の考えがあったら、相手の考えを完全に無視しますか?しませんよね?同じように、自分の意見と筆者の意見は区別すべきです*3。受験の問題を解くときに尋ねられているのは筆者の意見なので、筆者のみについて書きましょう。

 

自分の意見を書く

さて、本を読んだら、簡単なコメントや感想でもいいので、意見を書きましょう。ここがわからなかった」ならわからなかったでいいです。別の本で調べたり、辞書や百科事典を頼ればいいのですから。「ここが面白かった」ならその部分についての知識をもっとつけましょう。基本的に英語や現代文、あるいは小論文で使った知識は受験の後で意味がなくなるわけではありませんから、たくさん覚えても問題ありません。


問題になるのは、現代文や英語が得意な人が他の科目をおろそかにしてまでこれをやったり、来年の入試を目指している人が10月時点で本を読み始めたりしている場合です。もう3ヶ月を切っているのですから、さすがに悠長に本を読んでいる場合ではありません。今の時点で現代文の点数が伸びない場合は、本当に参考書などのテーマ解説を読み漁るしかないと思います。

 

意見があると勉強が楽しくなる

いずれにしても、楽しいとかわからないと思うことは、勉強、そして、知識をつけることのモチベーションになります。大学の勉強とはまさにこういうことの積み重ねだと思うので、これが苦痛な人は大学の勉強も苦痛なはずです。実際私も、大学の課題のレポートを書くために、週末の図書館に篭って苦手な本を読み漁るという苦痛を味わっていました。でも、「◯◯って面白いじゃん」と思い始めると、そのテーマについて勉強をするモチベーションに繋がりました。


このように、本について意見を持つことで、どのような意見を書きたいのか、書きたい根拠の優先順位*4はどうか、どこを引用すればいいかなどがわかってきます。これは小論文を書くときにも役立つはずです*5。もちろん、筆者の意見をまとめるだけではただの要約でしかないので、これまでにあなたが蓄積した知識を使ってあなたの考えを補強してください。

 

似た内容だから読める

小論文に関係のない皆さん、お待たせしました。そのテーマの基礎知識をつけることの最大のメリットは、そのテーマの文章が読みやすくなることです。シチューの作り方がわかればカレーの作り方もわかるのと同じで、似たような内容の本を読んだ後は、似たような内容の問題が解きやすくなります。


それから、数をこなせばそれぞれの主張の似ているところと異なるところがわかるようになります。たとえ肉じゃがを作ることになったとしても、カレーやシチューの作り方を思い出しながら、調味料を合わせたり、めんつゆを使ったりすれば簡単に作れます。意見を持って、その本や文章を印象付けましょう。もちろん、理解すべき、回答すべきなのは今読んでいる文章の筆者の意見なので、混同しないようにしてください。今まで手に入れた知識をフル活用して、問題を有利に解き進めましょう。

 

まとめ

  • 予備校の授業は暗記を前提にしますが、大学の授業は暗記を前提としません。大学入試の問題は暗記でも解けますが、大学が求めている解き方とは異なります。

 

  • 授業で学んだ物事に対して意見を持つことで、巡り巡って小論文が書きやすくなります。暗記で書くテンプレート小論文は意見に中身がありません。どうしてその結論になるのかをしっかり書けるといいですね。

 

  • 意見を持つためには知識が必要です。テーマに関する知識を蓄積するために、本を読みましょう。意見を持つことで混乱するかもしれませんが、筆者の考えとあなたの考えが異なること、筆者によっても考えが異なることを理解してください。

 

  • 本を読んだ感想を書くことで、自分がもっと知りたいことやわからないことをはっきりさせましょう。それが新たな知識や読書に繋がります。書きたい意見もわかり、小論文が書きやすくなります。

 

  • 本をたくさん読むことで、似た内容の文章が理解できたり、他の文章に応用できたりします。他の筆者の意見と混同しないようにだけ、注意してください。

*1:ここでいう評価とは、物事を自分の価値観で判定することです。例えば、「この洋菓子店にはケーキがある」では、判定になっていませんよね?「この洋菓子店にはおいしいケーキがある。」これで初めて評価になります。賛成・反対を聞いている場合も、賛成・反対だけではなくて、どのように評価しているかも書きましょう。

*2:岩波新書などの難しめのものでなくて構いません。時間がなければWikipediaでも構いません。

*3:文章を読んで意見をまとめる形式の小論文では、筆者の意見を理解してから、「でも、自分はこう思うんだ」という意見を書きます。国語や英語では、「でも、自分はこう思うんだ」の部分が抜けていると思ってください。

*4:自分の書きたい意見に合わない筆者の主張を書かないようにできるので、より統制のとれた小論文になります。例えば、「綺麗な海が好きだ」という意見を書きたいのに、「海で食べる焼きそばは美味しい」という根拠を書いたら、自分の意見の趣旨とズレていますよね?自分の意見を持てば、こうした意味の通らない文章になることを防ぐことができます。

*5:小論文における筆者の意見の要約は、自分の主張に関係する部分以外は蛇足です。書きすぎには注意しましょう。

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