「政党がしゃべる」時代に思うこと
毎日放送の開票速報番組が話題になっていました。各政党がモチーフのキャラクターを登場させ、スマホゲーム風の演出で放送していたようです。
毎日放送はこのような演出にすることで、若者に興味を持ってもらおうと目論んでいました。
実際、声優の声がついたことで多くの若者の関心をひくことができたようで、ネット上では大きな話題になっていました。
声優がつくだけで政治に興味を持ってもらえるとは、若者はちょろいですね。これを、他のものに興味を持たせるために利用しない手はありません。
あらゆるものに声をつけましょう。そうすれば興味が持てるはずです。
本の声
文字には声がつけやすいです。例えば、われわれの多くは、読書をしているときに声が聞こえています。文字を読んでいるときに、頭の中で声に変換しているのです。
脳内で擬似的に音読の状態を作り出しているともいえるでしょう。
漫画や小説がアニメ化・ドラマ化されたとき、その声がキャストと同じになる。これがまさに、活字に好きな声を当てはめている状況です。
これを応用すれば、学校の教科書を(脳内で)好きな声優に読ませるということも可能だと考えられます。
ただ、中には読書中に声が聞こえないという人もいます。文字に声をつけることについて、共感できないかもしれません。
モノに声を吹き込む
擬人化は注意力を高める
マナー啓発などのポスターで、モノが擬人化されているものを見たことはないでしょうか?
実際、幼児に対しては、動物ではない存在に「さん」をつけて呼称することも多いはずです。(例:お花さん)
擬人化をすることで、モノに生物性を与え、子どもの興味をひくことができます。結果として、子どもはモノを生物としてとらえ、大切にすることを学びます。
これが効くのは、幼児だけではありません。現に、私たちはKIRIMIちゃんやスポンジボブなど、さまざまな擬人化キャラクターに触れています。
- 傘に◯◯(任意の声優)の声を吹き込めば、なくさないようにできるのではないか?
- ネギに◯◯の声を吹き込めば、買い忘れないのではないか?
- 服に◯◯の声を吹き込めば、迷いを断ち切って買うことができるのではないか?
モノの擬人化は大きな可能性を秘めています。脳内でモノに声を吹き込むことである程度、愛着が持てるはずです。
声が近くにある生活
スマートフォンの普及により、着ボイスの文化は終えんを迎えました。
スマホ世代には信じられないかもしれませんが、ガラケーでは、アニメキャラクターやタレントなどの声を着信音(着ボイス)に設定することができました。
スマホではそれが一般的ではなく、あらかじめ組み込まれた音が使われることが多いように感じます。
今はその代わりに、声を録音できる目覚まし時計やログインのたびにあいさつしてくれるスマホゲームがあります。ある意味、好きな人の声がより身近になったともいえましょう。
スマホの次はAIスピーカーの時代だと言われています。AIスピーカーができる日本独自のサービスはなんだろうかと考えると、AIアシスタントが好きな声を出せるようになることが思い浮かびます。
ひょっとしたら、Google Homeが緑川光の声で話す時代も来るかもしれません。
声の魅力
声優という仕事が市民権を得ているのは、外見的な理由でも特徴的な声だからでもないと、私は考えます。
アイドル売りしていない、大して美男美女ではない声優はごまんといます。別に地声が特徴的なわけではない声優もいるし、必ずしもそうした法則は当てはまりません。
そうではなくて、人々が安心できる声を提供しているから、声優に人気が集まるのではないでしょうか?
批判される非声優タレント
アニメ映画の声優を声優ではない人が務めたときに、批判が殺到することがよくあります。
それは果たして、「棒読み」だからでしょうか?
たしかに、素人がセリフを読めば、棒読みになるのは当たり前です。でも、ある程度の訓練を積んだ新人声優が棒読みだった場合、それほどたたかれません*1。
多分、安心できる声を提供できない場合にたたかれるのであって、そうした声を提供できるタレント(声が特徴的な人、特撮ドラマ出身俳優など)はたたかれないはずです。
「ある程度の技術をもって作られたよい声」というのが求められている声でしょう。癒やしのために観たはずのアニメ映画にタレントの不協和音が入っていたら、怒るのも当然です。
そうしたアニメ映画とは対照的に、脳内でモノに付加する声はいつも心地よいと思いませんか? 好きな人の声を脳内で聞いていれば、心の安定を保てるかもしれません。