課題におけるカンニングについて
先日、質問投稿サイトで、課題の答えを訊いた学生と思しきユーザーが担当教員と思しきユーザーに咎められるという騒動がありました。
質問投稿サイトに宿題の問題を載せる行為は一般的でしたが、担当教員自身がネット上で指摘をするというのは珍しい光景でした。
この学生が咎められたのは、運が悪かったからでも、誰かが「チクった」からでもありません。公共のネット空間にカンニングとなる質問をしてしまったことに理由があります。
質問投稿サイトの質問が誰でも閲覧可能なこと、匿名の投稿でも所定の手続きを踏めば氏名の開示が可能であること、そして、カンニングをすれば単位没収などの厳しい処分が下ることを理解しなければなりません。
カンニングの事実を知るということ
コピペチェックツールの存在
カンニングの事実を知るためには、学者としての長年の経験とネットリテラシーの両方が求められます。
もちろん、学者としての経験を積めば、「この文章は学生に書ける代物ではない」ということは、容易にわかるはずです。
しかし、正直なところ、学生が質問投稿サイトを含むネット上の文章をコピペしたかどうかは、ネットリテラシーの高い教員でないと見分けられないでしょう。
というのも、世の中には、コピペをチェックできるツールがあるのです。
しかし、ネット上を探さなければその恩恵に預かることは難しい。そうでなければ、怪しい文章を検索エンジンで個別に検索するか、学生が書いた文章ではないという肌感覚に頼るしかありません。
怪しいということに気づかれなかったカンニングのプロはしぶとく生き残ります。
学生間のカンニング
では、課題を他人に委託したらどうでしょうか? 一時期、宿題代行サービスが話題になりましたが、宿題を代行する行為自体は学生間でも行われます。
課題を同じ学生である友達にやらせたり、レポートの内容について友達にアドバイスを請うたりした場合は、先生の目からは判断がつきません。
昔は筆跡から替え玉を見抜くことができましたが、今はワープロソフトを使うことが普通です。
こうなると良心に頼るしかありません。他人に頼んだ証拠がありませんから、立証も難しいでしょう。
カンニングがバレるとき
ネット上のカンニングは捕まる
ここで、冒頭の事案に立ち返ってみましょう。冒頭の学生は質問投稿サイトにいわば「替え玉の依頼」を書き込んでいました。足跡を残してしまったので、見事にカンニングが見つかったわけです。
カンニングごときで何を騒いでいるのかと思うかもしれませんが、2011年に京都大学の入試でカンニングをした生徒が、実際に偽計業務妨害で逮捕されています。
犯罪予告と同様に投稿者の情報を開示することは可能なはずで、たとえ匿名で投稿しても逮捕されることは不可能ではありません。
友達に訊いているのとはわけが違うことを肝に命じてください。
友達にやらせた報い
友達にやらせた報いが来るときといえば、課題の内容に関する説明を求められたときです。課題の内容は友達しか知らないはずですから、その時点で替え玉がバレます。
それから、ファイルで提出した場合は、作成したコンピュータの情報が残る*1こともあるので、絶対にバレないとは言えません。
友人による代筆が発覚した場合、代筆した友人も含め、学期中の単位を全て没収されるなどの処分が下る可能性があります。友達のため、良心のつもりでやっても何らかの処分を受けるので、絶対にやめましょう。
教員・TAへの相談はOK
ちなみに、教員にもよりますが、教員やTAへの質問はカンニングに含まれず、可能です。少人数クラスであれば、むしろ学生とのやりとりを通じてレポートを完成させることもあります。
しかし、質問もなしに友達の力を借りて書いたレポートは、先生と相談したものほど評価はされないでしょう。熱心に質問をする行為は、迷惑というよりも、むしろ評価を高めます(教員によります)。
カンニングは罪
いずれにしても、課題におけるカンニングは罪になる可能性のある悪事です。
バレなければ平気と思うかもしれませんが、バレる可能性は大いにあります。相手は年寄りだからネットやパソコンに詳しくないと思っていると、痛い目に遭うでしょう。
おまけ:ネット関係で気をつけたいルール・マナー違反
最後に、今回の記事に関連して、ネット関係で気をつけたい権利違反について書いていきたいと思います。
画像を出典なしで利用しない
プレゼン等でネットにあったよさそうな画像を使う人がいます。これは、どんなにカジュアルなプレゼンであっても、出典を示す必要があります。
そうでなければ、「私が撮った写真です」「私が描いたイラストです」と言っていることになり、泥棒と同じになります。
同様に、SNSに他人の画像(絵や写真等)を勝手にアップロードする行為も、著作権法違反になる可能性があります*2。
主張もなしに画像を持ってくる行為は引用ではなく転載になりますので、注意が必要です*3。最近では、他人の撮った画像を使用したツイートも「パクツイ」扱いされているようなので、気をつけましょう。
ちなみに、当サイトで使っているのは、作成者が著作権を放棄している著作権フリーのものになります。プレゼンやレポートのようなアカデミックなものにおいては、著作権フリーの画像であっても相変わらず出典を示すことが求められますので、注意しましょう。
著作権フリー画像を探すには、こちらの検索サイトが便利です。
Wikiサイトを引用しない
プレゼンでは、一般論の代表例としてWikipediaを利用することがあります。ある用語について、「Wikipediaにはこう書かれているが、実際にはどうなのだろう?」という切り口でプレゼンを始めるのはよく見ます。
しかし、レポートや卒業研究のプレゼン*4に使用することは控えた方がよいでしょう。よくて広辞苑かオックスフォード英英辞典です。
ニュース二次配信サイトを引用しない
ネットのニュース記事は、直接配信しているサイトを引用するようにしましょう。Yahoo!ニュースやLivedoorニュースは、基本的に自社で取材や執筆をしているわけではなくて、ほとんどの記事が他社の記事を載せているものです(そう明記されています)。
情報としての信用度(≠信憑性)は変わりませんが、イオンで買った魚を「イオン産トラウトサーモン」と言っているのと同じようなものです。できるだけ一次的な配信元(朝日新聞、時事通信など)を引用したいものです。