ネットとリアルが交差する世界 怖い部分も
神奈川県座間市で男のアパートから9人の遺体が見つかり、全世界が衝撃を受けています。
これまでにわかっているのは、
- 容疑者の男がSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を使って被害者の少なくとも1人と連絡をとったこと、
- 被害者が悩みを抱えていたこと、
- 容疑者が被害者を助けるふりをして近づいたことです。
誰とでもつながることができ、世界中の人と友達になれるインターネット。しかし、顔の見えない相手に依存していると、あなたは命を狙われるかもしれません。
過度につながろうとするユーザーには注意
上記の通り、今回の事件ではつながりを求める人が被害に遭っているように思われます。
しかし、赤の他人がネット上にいる何十億の人々の中からあなたを助けてくれる、ということはありえません。
悩み相談に「自分」を出してはいけない
ネット空間でのお悩み相談・身の上相談は、はてな匿名ダイアリーなどの完全匿名制のコミュニティでした方がよいと思われます。
その上で、「友達が◯◯で悩んでいて」のように事実を改変したり、ぼかしたりして、あなただとわからないようにしましょう。
名前が付いているSNSでは、どんなに本名から遠いハンドルネーム(例えば、「かぼちゃ」)を名乗っても、それはあなたという人間が「かぼちゃ」という名札をつけているだけにすぎません。
だから、その名札を剥がして、あなた自身に近づいたり、危害を加えようとする人がいる可能性があります。
そもそも、すべてのネットユーザーにその悩みを好意的に受け取ってもらえるとは限りません。逆に、あなたが悪者扱いされて、炎上する可能性もあります*1。
インターネットで悩みを相談したいなら、まずは、その悩みからあなた自身を切り離すことを考えましょう。
求めるのは依存できる相手ではない
あなたがネット上の相談で求めるべきなのは、あなた自身への救いではなく、あなたが抱える問題の解決です。
例えば、ネットで封筒の宛名の書き方を検索するとき、あなたが探しているのは、「あなたに宛名の書き方を教えてくれる優しい男性・女性」ではありませんよね?
もしかしたら、そういうことを教えてくれる優しい人もいるかもしれません。でも、宛名の書き方を教えることを口実に、性的関係を求められたり、命を狙われるリスクがあります*2。
だから、あなたは、宛名の書き方がわからないあなた自身を救ってくれる人ではなく、封筒の書き方を探すべきです。
……どのようなレベルにおいても、お悩み相談によって誰かとつながる(依存する)ことのないよう、注意しましょう。
ネットの情報は問題解決のためであって、「あなたのため」ではないことを念頭に置いてください。
SNSを利用した勧誘や詐欺に注意
消費者庁の報告によれば、悪徳商法や詐欺の現場がSNSにも拡大しているようです。
SNS上で知り合った人から、都合のよい儲け話を持ちかけられるなどの手口が増えています*3。
知らないうちに犯罪に加担させられる可能性もあるので、注意してください。
チケット詐欺
SNS上の詐欺で有名なものといえば、チケット詐欺。ライブやイベントのチケットを売ると偽って、代金をだまし取るというものです。
最近では、頭脳派の詐欺師が無実の人に濡れ衣を着せるという例もありました。チケット転売サイトではなく普通のSNSで取引が行われているケースもあり、憂慮すべき問題です。
noregretschool7974.hatenablog.com
「簡単な小遣い稼ぎ」に注意
それ以上に気をつけたいのが、荷受け代行詐欺です。これは、「荷物を受け取るだけの簡単なアルバイト」と偽って、被害者に商品の代金を支払わせるというもの。
荷物を最終的に受け取るのは詐欺グループで、お金を支払わされるのは被害者というあくどい手口です。
荷受け代行アルバイトに注意‼~知らない間に自分名義で契約されたスマホやサプリの代金を請求された!~ | 東京くらしWEB
詐欺グループは、登録の際に見せた(あるいは送った)身分証明書を使って、さまざまな商品を購入して転売したり、スマホを契約したりしています。(請求はいずれも被害者へ。)
このスマホが振り込め詐欺に悪用されたら、契約者にされたあなたが罪に問われる場合もあります。
絶対に荷受け代行バイトを受けてはいけません。
「知らないうちに加担」は罪の可能性
知らないうちに犯罪へ加担させられている可能性もあるので、素性のわからない人の儲け話は確実に危ないです。
たとえ、あなたが「巻き込まれていた」としても、罪や借金は変わらない場合があります(荷受け代行詐欺は可能性大)。ですので、こうした手口を知って、未然に防ぐことが必要です。
知らない人に儲け話を持ちかけてくるなんてことは、普通はあり得ないので、気をつけてください。
悩んでいる方へ
最後に、今回の死体遺棄事件の被害者のように、悩んでいる方にいくつか提案をさせていただきます。
インターネット・電話相談窓口
最近では、電話だけではなく、インターネットからも相談を行うことができます。
- 学校や職場でいじめられたりハラスメントを受けている人、
- 自らの命を絶とうと考えている人、
- 生活に困っている人など、
さまざまな人に対応した政府・自治体や民間(NPO)の相談窓口があるので、探してみてください。
ちなみに、私の経験ですが、お住まいの賃貸マンションやアパートの健康相談などは役に立ちません。
高熱が出たときに電話をかけたのですが、オペレーターが病院の検索に手間取っていたので、自力で病院を探しました。
今なら、急病などの健康相談は「#7119」番に聞くのが一番だと思われます。(一部地域を除く)
就職・住居支援などのNPO
それから、「お金がない」「住む家がない」「仕事がない」といった人を助けてくれる団体もあるようです。
居住する自治体やそこに登録されている支援団体によって、また、あなたの置かれた状況によって、受けられる支援の内容も異なるので、これもご自分で調べていただく必要があります。
つながる前に適切なSOSを
間違っても、SNS上の「助けてくれる」という甘い誘いに乗ってはいけません。今回の事件のように、自ら命を絶つより残酷で屈辱的な最期を迎えることになりかねません。
私たちには、正しい方法で助けを求めることが求められています。
*1:例えば、「それはあなたが悪いんですよね?」「それって犯罪じゃないんですか?」など、あなたを攻撃する書き込みもあるかもしれません。場合によっては、身元を特定されてしまうことも。
*2:もし、「同じ悩みを抱えている」と言われても、信じないことです。弱みに付け込まれて利用されるかもしれません。
*3:「LINEで勧誘された」 SNSで広がるマルチ商法、その問題点と“法律で全面禁止”されない理由 (1/2) - ねとらぼ