違法アップロードサイトがなくならない理由
マンガを違法アップロードしたサイトが物議を醸しています。
その問題を理解せず、「お金がかからないなら喜んで」と、子どもが利用することを容認している親御さんもいるようです。
他人が描いたマンガを許可をとらずに、無料で配布しているなんて、マンガ家さんにとっては絶対に許せない行為でしょう。
にもかかわらず、そうしたウェブサイトはしぶとく生き残っています。
なぜそうした違法サイトが生き残ってしまうのか? その背景には、監視の目が行き届いていないネットビジネスの現状があります。
ショッピングモールの専門店の仕組み
ネットビジネスについて考える前に、まず、ショッピングモールの専門店の仕組みを理解したほうがよいと思います。
わかる方は読み飛ばしてください。
お店を出すには
例えば、ショッピングモールに飲食店を出すために必要なのは、行政の許可とショッピングモールの許可です。
保健所からは飲食店営業許可をとる必要があります。とらずに営業すると、罰則があります。
参考:初心者でも分かる飲食店営業許可の手続き・流れ - ぐるなびPROfor飲食店
ショッピングモールはマンションと同じ
もうひとつ、ショッピングモールからも許可をとらなくてはなりません。
そもそも、ショッピングモールを運営している会社の業種はご存じですか?
飲食でもアパレルでもありません。
正解は不動産です。
つまり、賃貸マンションやアパートと同じで、お店の人にスペースを貸しています。
ただし、ショッピングモールの場合、マンションやアパートの大家さんよりも役割が大きいです。
というのも、お客さんが快適に買い物をするためには、安全で快適な環境が求められます。
ショッピングモールには、お店を監視する責任があるのです。
2つの監視
ショッピングモールが行う監視は、主に2つあります。
ひとつは、上記のように、安全や快適さが確保できているか、ルールが守れているかを確認することです。
例えば、非常口の前に商品棚を置いたら、人が避難できませんよね? そういう部分は消防でも確認しますが、モール側でも確認します。
もうひとつの監視は、売り上げが伸びているかです。
ショッピングモールのようなテナントは、普通の賃貸と違って、売り上げに応じて一定の割合の家賃をとります。
したがって、お店を残すためには売り上げが必要なのです。
もちろん、ショッピングモール側も売り上げを伸ばすために*1、お店側の相談に乗ったり、催し物を開いたりします。
お店がつぶれないためには、協力が不可欠なのですね。
ネットビジネスの仕組み
ここまで読んだ方は、おわかりいただけましたか?
一般的なビジネスは、お客さんを守るために、よりよいビジネスをするために、見張られているのです。
では、個人のネットビジネスはどうでしょうか?
ネットビジネスは運営者の自由意志
実は、個人のネットビジネスは監視が不十分です。
運営者個人の良心に委ねられていて、すべてが安心して利用できるわけではありません。
そもそも、ウェブサイト運営は何業でしょうか?
ウェブサイト作りは、大まかに言うと広告業です。
無料でウェブサイトを公開する代わりに、企業などの広告を載せてスポンサーからお金をもらいます*2。
スポンサーを得るために、Googleなどの広告を出してくれるサービスを使うのですね。
ちなみに、Googleの場合は、ユーザーを分析するための機能が充実しています。
それを利用することで、ウェブサイトの運営者はサイトをより良くすることが可能です。
ただし、それはあくまで運営者の意思に任されています。
広告会社以外にもユーザーを助けるサービスはあり、そうしたサービスがショッピングモールと同じような役割をしています。
広告を出すには
現状、Googleの広告サービスに登録するには、自分専用のアドレスを持ったサイトが必要です。
このブログはhatenablog.comというアドレスになっていますが、別のブログでは自分専用のアドレスを(有料で)借りて使っています。
はてなブログの有料サービスを使っているので、そちらにもお金を払っています*3。有料会員だけが使える機能などもあり、とても便利です。
私の場合は、以上の3つが「ショッピングモール」です。
広告会社は広告を止めることができるが……
さて、広告会社は十分に監視をしているでしょうか?
Googleは、問題のあるサイトを自動で判断する能力を持っていて、そういうサイトが広告を載せていれば、止めることができます。
しかし、まだまだ監視が追いついていないのが現状です。
一応、検索サイトに著作権違反のサイトを載せなくする技術はありますが、抜け道はたくさんあると思います。
アフィリエイト広告の最大手はGoogleですが、他の広告サービスで監視が行き届いているかは不透明です。
改善は自主的に
そしてなにより、天下のGoogleですらフィードバック(アドバイス)が少ないので、サイト運営者は問題を認識すらできない可能性があります。
「一緒に売り上げを伸ばしましょう」というよりも、お店であるウェブサイト側が一方的に広告会社のビジネスに乗っかっている、というのが今の状況です。
したがって、広告が載っているのに悪質なサイトはいくらでもあります。
そうしたサイトは検索エンジンでも普通に引っかかるので、検索サイトに載っているから安心ということはありません。
キーワードをうまく利用すれば、検索のトップにくることは余裕でできます。
これは、大型ショッピングモールの入り口に違法なお店があるようなもので、お客さんが群がってしまうのも仕方がありません。
売り上げが伸びなくても退去しない
ちなみに、ショッピングモールでは、売り上げが伸びないお店に退去してもらうことが可能です。
しかし、ネットでは売り上げが伸びなくても退去勧告はありません。質の低いサイトはいつまでも生き残ります。
一方で、検索サイトが配置替えをする(検索の仕組みを変える)ことも考えられます。
退去させられるのは、目に見えたルール違反で、アカウントを剥奪されたときぐらいですね。
必要なのはコンサルタント
ここ数日で、ウェブサービスの使い方に関する記事が数件、話題になっていました。
ネットビジネスの運営者がそれだけ困っているということでしょう。
インターネットの品質向上のためには、コンサルタント(相談役)が不可欠です。
そういう仕事は実在するのですが、個人では手が出しにくいと思います。
それに、自分で改善するにしても、コンサルを雇うにしても、自主性に任されるのがオチです。