人が交流する図書館
学校の図書館を相談所に変える事業が話題になっています。賛否両論あるようですが、私は賛成です。
これは生徒の孤立を防ぐため、ボランティアが相談に乗るというものです。
ボードゲームや音楽活動をする、スープやお菓子を用意するなど、ボランティアや生徒が相互に交流できる場になっています。
この図書館の場合は、人間自体を図書館で扱う情報メディアだと考え、この事業を受け入れたそうです。
この事例のように、図書館はもはや1人で静かに本を読むだけの空間ではなくなっています。
図書館は交流空間としての役割を持ちはじめているのです。
ICU図書館のグループ学習エリア
もしかしたら、皆さんの学校にも図書館で私語OKというところがあるかもしれません。
私もそうでした。
国際基督教大学(ICU)の図書館には、私語が許されているエリアがあります。
私の在学中に、一部のフロアがグループ学習エリアになりました。
従来は場所に困っていた
従来、このエリアにはデスクトップパソコンがおかれていて、私語厳禁でした。
図書館内にはわずかにグループ学習室がありましたが、十分ではありませんでした。
そのため、学生は食堂や学生会館のラウンジなどに集まってグループワークをしていました。
もちろん、食堂や学生会館にはパソコンも電源もありませんから、100%グループ学習に適しているとは言えませんでした。
しかし、グループ学習エリアができたことで、グループ学習がしやすくなります。
グループ学習エリア
このエリアには大きなテーブルが置かれていて、電源も完備されています。
しかも、ノートパソコンの貸し出しもあり、グループ学習にはうってつけの場所です。
事前予約なども必要ないので、空いている時間であれば、1人で使うこともできます。
通常の図書館ほど騒音に気を使わなくてよいので、リラックスして学習できる場所になっています。
静かに本が読める場所も
当然のことですが、それ以外の場所では静かに学習することができます。
私の卒業後に一部が改装されたようですが、電源つきの個人用ブースはまだ残っているみたいです。
そうした場所での私語はやめてください。静かに本を読みたい人もいるので。
カフェが併設された武蔵野プレイス
武蔵野プレイスは、都内で有名な図書館のひとつです。
ICU生にとっては実質的な「ICU図書館分館」のようになっていて、武蔵野市民や市内の学生が交流する場所として機能しています。
図書館なのにカフェ
私が初めて利用したときに衝撃を受けたのは、1Fの中央に位置するカフェ。
授業のグループのメンバーが集まろうというので、グループ学習室でも押さえたのかと思えば、その場所はカフェでした。
公民館に併設された図書館であれば、NPOが運営するささやかなものがあったりしますが、ここは本格的なカフェです。
図書館×ソーシャル
図書館といえば、静かに勉強をする、水気厳禁の場所。
そんなところでカフェだなんて、おかしいと思う人もいると思います。
でも、暮らしがインターネットやソーシャルメディアと結びついていく中で、図書館が独りの空間でなくなることは必然なのかもしれません。
どうせ、本を持ち帰った先の家では水気がありますし、カフェがあっても問題ないのでしょう。
このネット時代、本という閉じたメディアを存続させるために、開いたメディアとのコラボレーションが求められています。
人と人が交流するカフェもそのメディアのうちのひとつです。
変わらない図書館は取り残される
そうやって変わろうとしている図書館がある一方で、旧態依然として静かに本を読む以外の使い方を一切認めない図書館もあります。
実際、地元の図書館を使おうとしたとき、「パソコンはダメです」「当館の本以外を読んではいけません」などの決まりがあって困りました。
そうなると、市民は「スタバで勉強しよう」「本じゃなくてインターネットで調べよう」と思ってしまいます。
市民を自治体につなぎとめるためにも、大きな自治体は交流のできる図書館を整備するべきではないでしょうか?
旧型の図書館は残してかまわないので。