大学の情報公開項目に留年・中退率が追加
2020年度から、大学が公開する基本データの項目が増えるらしいです。
中でも、中退率・留年率を公表することがニュースになっていました。
企業の人事やこれから大学を受験する皆さんの、大学を選ぶ基準に影響を与えそうです。
(まだ検討段階であることを断っておきます。)
中退率・留年率の意味することは?
学生個人の事情
ただ、そのようなデータと向き合う上で注意してほしいことがあります。
中退率・留年率が高いからといって、一概に悪い大学・卒業が難しい大学とは言えません。
ダブり・退学には、学生個人の事情という外部的要因もあるのです。
例えば、
あるいは、
- 学費が賄えないので中退する。
- 病気の影響で留年する。
- 子育てがあるので、4年間で卒業するつもりがない。
という場合も考えられます。
大学自体の問題
じゃあ、中退率・留年率が高い大学は、どのように悪い可能性があるのか?
- 多くの人が留年してしまうぐらい、試験や課題が難しい*3。
- 多くの人が理解・納得できない授業を行っている。
- 留学した人が4年間で修了できるシステムになっていない。
- 学費が高い。
中退率・留年率の高い大学(特に難関大)に対しては、そのような可能性を想定しなければなりません。
大学の現実を確かめる方法は?
でも、実際に夢に打ち込める大学なのか、授業がダメな大学なのかは、現地に足を運んで確かめるべきです。
他の記事で何度も言っていて押し付けがましいですが、第一志望校のオープンキャンパスには必ず足を運びましょう。
教職員ではなく、学生に話を聞いてください。
模擬授業も受けることをおすすめします。なければ、ネットに公開されている授業の動画(OpenCourseWare)で。
公開項目追加で就職が変わるのではないか?
ところで、今回の公開項目追加によって、企業の人事が大学を見る目が変わるのではないかという声が一部であります。
そのようなことは考えづらいです。
上に挙げたような学生個人の事情があるので、留年・退学率は大学の評価につながりません。
イメージの固定化への懸念
「学生の成長実感、満足度」や進学先・就職先も公開されるとのこと。
多様なデータが提示されることはうれしい部分もあります。
でも、公開される情報が増え、むしろイメージの固定化が進みそうです。
「◯◯大学の学生は〜〜だから、××業界に向いている」というステレオタイプがよりいっそう強化されるかもしれません。
受験を踏みとどまる可能性も?
一方で、大学を志望する人にとっても、そうした固定観念が足かせになることが想定されます。
ですが、今回公開されるデータはあくまで雰囲気をつかむためのヒント程度にしてほしいです。
Universityはいろいろな人が集まる場所であり、統計で把握しきれるものではありません。
大学は高校よりもはるかに大きくて、在学生でも知らない・わからないことがあります*4。
ぜひとも大学現地に足を運んで、本当は自分に合っていたのに受けなかったということのないようにしてください。
数値化されないよさがある
大学には一律に定められた統計では測れないよさがあります。
ICUには本館前芝生広場がありますが、同じ緑地面積を持つ別の大学には本館前芝生広場はありません。
それから、頭を使ってサボったりふざけたりする人がいる大学もあるはずです。
名物教授の講義がある大学もあるかもしれません。
受験生のみなさんは、数字や統計にとらわれず、幅広く情報を集めてください。