もう一度SNSの安全確認を
有名なブロガーが迷惑ユーザーと思われる人に殺害された事件を受けて、インターネット上には不安の声が広がっています。
皆さんもこうした事件の被害に合わないよう、注意しなければなりません。
(事件が事実だとすれば、容疑者のしたことは許されることではありません。
この記事は被害者を糾弾するためのものではありませんので、あらかじめご了承ください。)
何があったか?
人気ブロガーが福岡県でセミナーを開いたところ、終了後に男にナイフで刺され、亡くなりました。
容疑者はインターネット上で迷惑行為を繰り返していたユーザーだと考えられていて、ネット上で被害者にたしなめられることもあったようです*1。
インターネット上では、ウェブサイトにコメントできるサービスに問題があったのではないかとか、就職氷河期の世代であった今の40代に適切な支援をすべきではないかなどの議論が巻き起こっています。
私たちはどうするべきか?
これから行く場所・今いる場所を書かない
本題です。
SNSにはこれからどこに行くか、今どこにいるかを書いてはいけません。
今回の被害者はハンドルネーム名義でイベントを開きました。
これはもともと予告されていたものでした。
容疑者はこれを、被害者に会う絶好の機会と考えたのだと思われます。
ですから、これから行く場所を書くのは危険です。
あなたを狙う人がいるかもしれません。
例えば、ライブのチケットが取れたことを自慢したい気持ちはわかります。
でも、それはネット上の悪い人に居場所を教えているのと同じです。
日頃どこへ行っているかがわかる投稿(電車の遅延情報など)も危険です。
定期的に行く場所について書くのはよくありません。
学校や習い事などの所属も書かないようにしてください。
今どこにいるか、これからどこへ行くかに関する投稿は危険。
定期的にどこへ行っているかを書いてはいけない。
親子で安全対策!~ネット犯罪から子供を守る~ - マカフィーセキュリティニュース
仲のよいネット友達にも会わない
未成年がネット友達に会うのは危険です。
中高生になりすました大人による性的被害は後を絶ちません。
インターネットでつながっている間は安全かと思うかもしれませんが、相手をたくみにだまして、性的な画像を送らせるなどの被害もあるようです。
写真はインターネット上でいくらでも拾えるので、同世代の子の写真を相手が送ってきたとしても、本人のものとは限りません。
上の話とも重なってきますが、「一緒にイベントに行きましょう」「チケットが余ったので譲ります」などもダメです。
インターネット上には女子高生をかたったおっさんのアカウントがたくさんあるので、だまされないでください。
中高生になりすました大人による被害もある。
どんなに親しいネット友達でも実際に会ったり、自分の写真を送ったりしてはいけない。
追記:男の子への性被害も(2019/1/24追記)
12歳の男の子が大人の女から性的な被害を受けました。
報道によれば、女とはネットで知り合ったようです。
女は強制性交等の罪で逮捕されています。
あなたが男性であっても、また相手が女であっても、被害に遭う可能性は否定できません。
悪質な書き込みは反論せず無視・通報
悪質な書き込みは、反論せずに無視しましょう。
その上で、運営会社などに通報しましょう。
ヘイトスピーチや根拠のない誹謗中傷(ひぼうちゅうしょう)に反応したくなる気持ちはわかります。
でも、その書き込みをシェア(共有)することは書き込みの正当化を意味します。
シェアは悪質な書き込みをコピペするのと同じですから、反論したい場合でも許されません*2。
容疑者を無視したことが今回の殺害につながったのではないかという考え方もあるかもしれません。
しかし、あなたに向けられていない書き込みに関しては、無視して通報したほうがよいです。
個人が特定できない限り、現実世界で報復される可能性は低いでしょう。
ヘイトスピーチや誹謗中傷は、シェアや反論をせずに通報する。
誤解してはいけないこと
過激な議論はしてもよい
皆さんがするべきではないことはわかっていただけましたか?
それに加えて、勘違いしてほしくないことがいくつかあります。
まず、皆さんにはインターネット上で好きに発言する自由があります。
でも、一部には、被害者がネット上で容疑者を刺激したので、因果応報だとする意見もあるようです*3。
それは違います。
インターネット上には言論の自由があるはずです。
今回のような事件があることで、人々はインターネット上で好きに発言できなくなります。
2015年にも、フランスの新聞社「シャルリー・エブド」がテロリストの襲撃に遭いました。
イスラム教徒を侮辱するような風刺画があったのは事実ですが、その会社がイスラム教徒に暴力を振るったことはありません。
発言に対して暴力で対抗することは非常におろかしい行為です。
ペンを剣に変えてはいけません。
ただし、ヘイトスピーチや根拠のない誹謗中傷は犯罪になってしまうのでやめましょう。
インターネット上で滅多なことを言うと殺害されるかも、と萎縮するのはよくない。
一方で、議論する上での最低限のルールは守らなければいけない。
その意見が全体とは限らない
インターネットは全世界の人が使っていますが、ユーザーの目に映るのは一部だけです。
なのに、多くの人が一部の意見を全体だと思っています。
例えば、10人が「高校はひどいところだ」と否定的な書き込みをしたとしても、全体だと思わないことです。
それはごく一部のことで、他の10人が「高校は楽しい」と書き込んでいるかもしれません。
今回の事件も、容疑者が被害者を「インターネットの代表」だと思い込んだ可能性があります。
たしかに、被害者はインターネットの評論家の1人であって、代表ではありませんでした。
情報を得るときは、1つのブログだけで完結させるのではなく、複数の本やニュース記事を読むことが大切です。
世の中には多様な意見があるので、一部を見て真実・真理だと思ってはいけない。
ネット上では誰も守ってくれない
SNSを含むネット上では、あなたを守るための機能が十分ではありません。
実は、日本のインターネットでは、ユーザーの秘密を守るため、ほとんど監視がされていません。
これは日本国憲法第21条第2項に定められた、国への禁止事項です*4。
子どもの性的な画像(児童ポルノ)を扱うサイトだけが、誰からも見られないようになっています。
子どものために、よくない言葉などが使われているサイトを見られなくするソフトもあります。
しかし、SNSなどで子どもが被害に遭わないように見守ってくれる人はいません。
もちろん、事件を通報すれば、警察などがあなたを守ってくれるでしょう。
でも、インターネット上に悪い人がいないと思うのは、とても危険です。
現実世界と違って監視の目がないことを心に留めて、気をつけてスマホを使いましょう。
日本のインターネットはほとんど監視されていない。
あなたが被害に遭うのを未然に防いでくれる人はいない。
自分自身が被害に遭わないように気をつけなければいけない。
IHJ:【相談窓口をお探しの方をお探しの方:18歳未満の方】
*1:福岡・IT講師刺殺 被害者は人気ブロガー「Hagex」、面識ないが「荒らし」批判され恨んだか(1/2ページ) - 産経WEST
*2:投稿した人にとっては、悪質な書き込みを受けて発言をするという目的があるかもしれません。でも、それを知らない人にとっては別々の書き込みが並んでいるにすぎません。
*3:誹謗中傷自体はほとんどスルーしていたようですが、通報しているとブログで名言していました。
*4:フィルタリングや児童ポルノのブロッキングが憲法違反にならないのは、子どもを守るためにどうしても必要だからです。政府が監視をしない代わりに、インターネット通信会社などの民間団体がどのサイトを見せなくするかを決めています。