人生わりかし後悔しています。

中高生、中高一貫校の生徒、浪人生、大学生、その親などに向けたブログです。学習や受験に関すること、塾や予備校のこと、引越しや一人暮らしのことなどについて書きます。

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大使館・総領事館の役割 友好の象徴だけではない!

大使館や総領事館は駐在する国と交渉をする窓口です。

Photo by rawpixel.com from Pexels

 

「日本人が巻き込まれたという情報はありません」の意味

トルコのサウジアラビア総領事館の事件を受けて、総領事館に想いを馳せている人も多いかと思います。

大使館や総領事館がどういうところなのかわからない、という人もいるかもしれません。

 

大使館・総領事館とは何なのでしょうか?

 

 

 

 

大使館・総領事館は何をしている?

大使館・総領事館の役割は主に次の4つです。

  1. 邦人の保護
  2. 文化交流
  3. 発展途上国の援助
  4. 日本企業の支援

 

邦人の保護

海外で大きな事故や災害が起きたとき、ニュースでこんな言葉を聞きませんか?

 

「日本人が巻き込まれたという情報は入っていません。」

 

これを聞いて、「日本人のことだけ気にするなんて、自己中心的だ」と思っていないでしょうか?

実は、日本人の安全を確認することは、政府の大事な仕事です。

 

他の国の政府も、自分の国の人(邦人)を守るために活動しています。

その基地となるのが、大使館や総領事館などの在外公館です。

 

  • 現地の情勢について調べる
  • 非常事態のときに邦人の安全を確認する
  • 邦人が危険な国や地域に行かないよう呼びかける
  • 邦人に災害や感染症の危険を知らせる

 

在外公館がこうした仕事をしているから、私たちは安全に海外を旅行できるのです。

 

学術・文化交流

自国の文化を知ってもらうため、在外公館はさまざまな形でアプローチしています。

セレモニーや会議などに大使が出席することもあります。

 

自国で撮られた映画の宣伝や上映をしている国もあり、大使館の役割は政治だけではないことがわかります。

 

そのほかに留学のあっせんもしています。

留学してみたい皆さんは、自分の学校だけでは情報に限界があると思います。

ぜひ気になる国の大使館のウェブサイトを確認してください。

 

発展途上国の援助

ODA(政府開発援助)の現地事務所となるのが、大使館や総領事館です。

 

発展途上国への支援は、日本が一方的に押し付けるのではなく、両国が相談しておこないます。

お金を無駄遣いして、要らない「ハコモノ」を作るわけではありません。

 

実際に支援をするのはJICA(国際協力機構)ですが、相手国との交渉や活動の監視をするのは在外公館です。

不正を取り締まる窓口も設置されていて、ワイロなどを防止・弾圧しています。

 

日本企業の支援

大使館や総領事館は偽ブランド撲滅のために協力してくれる。

Photo by bruce mars from Pexels

 

「海外で◯◯のパチモノが作られていた」

「某国で偽ブランド品が売られていた」

皆さんはそういう内容をニュースで聞いたことがあるでしょうか?

 

そうした海賊版や模造品は、現地の法律で裁かれなければなりません。

でも、外国なので、当局とうまく交渉できなかったり、うやむやになったりする場合があります。

 

こういうときに相談に乗ってくれるのが、在外公館の職員です*1

ひどい場合は、外務省が現地政府と直接交渉することもあるようです。

 

それ以外にも、

  • 海外に事務所を作りたい
  • ビジネスを通じて途上国を支援したい
  • 海外のビジネスでトラブルがあった

などの相談を受け付ける職員がいます。

 

海外で働くことは自己責任ではないのです。

 

参考:

在外公館の仕事 | 外務省

 

在外公館は

自分の国の人の安全を守ります。

在外公館を置いている国の人と文化・学術的に交流します。

発展途上国を助ける活動に参加します。

自分の国の企業を助けます。

 

外交官はどんな人たち?

在外公館では、外交官が働いています。

 

彼らは外国語を話せるだけではありません。

相手国と交渉する話術や専門知識を兼ね備えています。

それから、海外で生きていける力も当然必要です。

 

むしろ、外国語は研修で学ぶため、交渉力のほうが重要かもしれません。

会社員などと違って、駐在するまでには多くの年月を要します。

数年間学び続けられるスタミナがあるというのも、大事な資質ではないでしょうか?

 

参考:

研修制度 | 外務省

 

外交官の資質は主に……

外国語の能力

話術・交渉術・交渉力

専門分野の知識

上記のことを学び続けるための体力

 

外交特権:罪に問われない?

外交官には駐在する国に逮捕されない特権があるが、犯罪し放題ではない。

Photo via pixabay

 

外交特権という言葉を聞いたことはないでしょうか?

 

外交官には、駐在している国に拘束されない特権があります。

それなら、外交官はどんな悪いことをしても許されるのかと思う人もいるでしょう。

でも、この不逮捕特権は罪が裁かれないというものではありません。

 

2002年にカナダ大使館の職員が飲酒運転で交通事故を起こしました。

このときは、カナダ政府と話し合いをして、1年間運転をさせないことを大使の名前で誓約したと言います*2

 

それから、2012年にアメリカ・サンフランシスコ総領事館の副領事が家庭内暴力の疑いで逮捕されています。

ロイター通信によれば、日本とアメリカの間の協定では、1年以上収監されるような罪には不逮捕特権は通じないとのことです*3

 

このように、外交官だから何をしてもよい、ということはないのです。

もっとも、不逮捕特権がなければ、駐在している国の政府が外交官を好き勝手に拘束してしまうかもしれません。

そんなことがあれば、邦人が海外で生活したり、旅行したりできなくなるでしょう。

 

外交官には逮捕されない特権があります。

でも、度を超えた犯罪については逮捕されたり、相応の処分が下ります。

 

邦人を守ってくれる大事な存在

在外公館は海外で活動する邦人を守ります。

 

外務省: よくある質問集 その他

 

犯罪や事故に巻き込まれたとき、逮捕されたときは通訳や弁護士を紹介してくれます。

不当な扱いを受けているなら、現地の警察に話をつけてくれます。

捜査や釈放などの内政干渉はできませんが、できる限り助言してくれます。

 

大使館や総領事館は本来、「無法地帯」ではありません。

国際法にのっとって、国と国民の利益のために活動しているのです。

*1:日本国内で偽ブランド品を買ってしまった場合は、消費生活センターや購入したフリマサイトなどへ連絡しましょう。

参考:

フリマサイトで購入したブランド品が偽物だった(身近な消費者トラブルQ&A)_国民生活センター

 

海外で買った場合は、日本に持ち帰ると関税法違反。10年以下の懲役、または1000万円以下の罰金を科されます。

罪に問われなかった場合でも、税関で没収されるので、怪しい商品は絶対に買ってはいけません。

 

参考:

財務省・税関 | ニセブランドって?

*2:外務大臣会見記録(平成14年4月)

*3:Japanese diplomat faces spousal abuse charges in California | Reuters

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