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中高生、中高一貫校の生徒、浪人生、大学生、その親などに向けたブログです。学習や受験に関すること、塾や予備校のこと、引越しや一人暮らしのことなどについて書きます。

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【さくらんぼ計算】算数が苦手な子にも 得意な子にも厳しい日本

わかるのに 算数が嫌いになる小学生たち

さくらんぼ計算をしなかったために、子どもがテストで減点されたというのが話題になっています。

 

 

 

 

さくらんぼ計算とは

さくらんぼ計算は、

  1. 足し算の足す数・足される数のいずれかを2つの数字に分解し、
  2. キリのよい数(10など)を作ってから足す

という計算方法です。


数字が2つに分かれた状態をさくらんぼの房に見立て、さくらんぼ計算と呼びます。

 

答えが10より上になる足し算を、数字を分解して解くのがさくらんぼ計算。

Photo via PEXELS

 

例えば、7+6であれば、

 

6=3+3

 

なので、

 

7+3+3

=10+3

=13

 

筆算の繰り上がりを使わずに、和が2ケタになる計算ができました。

 

何のためにさくらんぼ計算をするか?

さくらんぼ計算というのは、計算の工夫です。

手間を省くための人類の知恵です。

 

にもかかわらず、さくらんぼ計算をしなくても答えがわかる子に、強要している。

無駄な手間をかけさせている。

それが、今回の問題なのです。

 

わかりやすい解き方

計算の工夫は、わからない子のために重要です。

 

計算ができない子は、社会で生きていけないというのが共通認識です。

最近では電子マネーの普及で、お釣りの計算が必要なくなっています。

しかし、世の中ではまだ計算が必要です。

 

そんな子に必要なのは、わかりやすい教え方です。

さくらんぼ計算もわかりやすい教え方のひとつと言えるでしょう。

 

わからない子のために必要だが……

実際、私が算数・数学を嫌いになったのは、真面目に筆算をしていたからです。

時間をかけたのに計算が間違っていて、バツを食らうことも多かったと思います。

そういう意味では、さくらんぼ計算のような計算の工夫を教えてもらえるのはありがたいです。

 

ただ、さくらんぼ計算を理解できなかった場合の代わりがないのは、問題だと思います。

さくらんぼ計算がわからなかったら、そこで終わりというのは残酷です。

 

わかる子を苦しめる足枷

さて、さくらんぼ計算が解ける人にとっても、さくらんぼ計算を強要されることは酷だと考えます。

 

日本人の悪い癖は、努力せずに10をやった人を批判して、努力して1を失敗した人を評価してしまうことです。

努力せずに10ができる能力や技術を持っている人は、無駄な努力をさせられます。

 

そのせいで、本来の力が出せません。

本来は100の仕事ができるかもしれないのに、1をさせられるのです。

 

学校がすべきなのは、下の子に合わせることではありません。

よりよい人間を育てるために、上の子を伸ばすことです。

別の計算問題や、計算の工夫を教えたほうが子どものためです。

 

勉強の楽しさを教える

算数・数学は、子どもが理系を諦める一大要因だと思います。

習っていない計算方法の否定、時間をかけたのに間違っている筆算……

 

大切なのは、苦労や問題がわからない苦痛ではありません。

分かる快感や、より難しい問題に挑戦したいという好奇心こそが理系人材*1を育てるのではないでしょうか?

 

算数が得意な子にも、苦手な子にも、分かる楽しさを教えるべきです。

 

さくらんぼ計算はわかりやすい解き方のひとつであり、わからない子にとって重要です。

しかし、さくらんぼ計算がわからない子や、さくらんぼ計算が必要ない子には迷惑でしかありません。

習熟度にかかわらず、分かる楽しさを子どもに提供することが求められています。

 

さまざまな計算法

算数が分かっている・分かっていないに関係なく、計算の工夫や考え方は多様であるべきです。

 

野球にさまざまな投球フォームがあるように、計算の方法もさまざまだ。

Photo by Keith Johnston on Unsplash

 

野球にさまざまな投球フォームがあるように、算数・数学にもさまざまな解き方があります。

それが数学的に間違っていない限り、否定する意味はありません。

足し算をさくらんぼ計算で解こうが、暗算で解こうが、おはじきで解こうが、正解に変わりはないのですから。

 

映像化したほうが解きやすい子もいれば、数字だけで解ける子もいます。

子どもの得意不得意に対応するためにも、さまざまな計算方法や考え方を教えるべきです。

 

教員の人材不足 子どもに合った指導はムリ?

「教員が不足する中で、子ども一人ひとりに合った計算方法を教えるのは難しいのではないか?」

 

もっともな意見ですが、世の中には塾や通信教育、市販のドリルなどもあります。

学校外でもいろいろなことを習えるのです。

 

しかしながら、学校で習っていないことをテストに書いたら、バツを食らいます。

それが日本の教育の限界です(一部だけだと思いたいですが)。

 

授業で教えていない計算方法を許すようになれば、分からない子も分かる子も救われるはずです。

 

思考過程を書くことも大事

さくらんぼ計算を書かせるのは間違っていると指摘しました。

 

一方で、思考過程を書くことが、子どもの理解につながるのも確かです。

どこで間違えたのか、どこでつまずいたのかを把握するのに役立ちます。

 

ただし、さくらんぼ計算を強要するのではなく、図でも筆算でも途中式でもよいことにすべきです。

「この図は、この部分が間違っているよ」

「目の付けどころは正しいけれど、計算が間違っているよ」

 

そういうことを教えられるのがベストではないでしょうか?

 

算数・数学には、さまざまな計算法や考え方があります。

学校で全部を教えるのは難しいかもしれませんが、学校以外ではそれを学べます。

さくらんぼ計算の強要は問題ですが、テストで思考過程を書かせること自体は重要です。

 

広がる学習支援ボランティア

多様な計算方法は塾や通信教育で教えてもらえばよい。

とは言っても、経済的に塾に通うのが難しい子もいます。

 

そこで、一部の自治体やNPOでは、大学生などによる学習支援ボランティア(バイトの場合もアリ)を実施しています。

ささやかではありますが、大人の指導を受けることができます。

 

経済格差を埋めるための活動は、すでに始まっているのです。

*1:文系でも統計や会計、経済学などに数学を使います。

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