中古の本を売買する方法 メルカリも注意が必要
Twitterである作家が自分の本は末永く愛され、古本屋には並ばないだろうと言いました。
それに対し、実際に並んでいると、古本屋のアカウントが反論しました。
古本屋の発言が悪いことではないかと指摘する声があります。
ひとつには、作家へのリスペクトが足りないのではないかという意見もあるのでしょう。
それ以外に、古本屋が堂々と発言・宣伝しているのを咎めるようなツイートも散見されました。
古本屋は違法・グレーゾーンなのでしょうか?
結論からいうと、許可をとった古本屋は合法です。
古本屋を運営する「古物商」って?
そもそも、古本屋は「古物商」という営業形態をとっています。
古物商は一度使われたものや、買ったけれど使わなかったものを売買する仕事のことです。
参考:
中古品を販売するために必要な許可|経営ハンドブック|起業する|J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト]
古物商には、各都道府県の古物商許可証が必要で、守るべきルールもあります。
例えば、買い取ったものが盗品(盗まれたもの)だとわかった場合は、警察に譲らなければなりません。
売り手の本人確認をする義務もあり、決してアウトローな業界ではありません。
メルカリやヤフオクは?
ヤフオクなどのオークションサイトは古物競りあっせん業と呼ばれています。
中古オークションの場を提供しますが、自分では売買をしません。
古物競りあっせん業は手数料を取る場合、許可が必要です。
手数料を取らない場合も、都道府県の認定を受けることができます。
こちらにも、守るべきルールが定められています。
参考:
一方、メルカリやラクマのようなフリマアプリは、古物競りあっせん業に該当しません。
古物営業法では、規制されていません*1。
そのため、問題のある売買を自主規制で取り締まっています。
ただし、消費者庁は動いてくれます。
フリマアプリのサービス自体に問題がある場合、消費者を代表して、運営会社に要望を出してくれます。
問題があれば、消費生活センターへ問い合わせましょう。
参考:
相談急増!フリマサービスでのトラブルにご注意−個人同士の取引であることを十分理解しましょう−(発表情報)_国民生活センター
古物商許可を取っている古本屋は合法です。
フリマアプリには法的規制がなく、自主規制が採られています。
消費者庁がフリマアプリの運営会社に要望を出すことは可能です。
古本の販売がいつ問題になるか?
「いらないものの転売」を超えている場合
古本を売ることがいつ問題になるのか?
第一に、無許可で節度を超えた転売があったときです。
例えば、いらないものを売るフリマアプリの前提が破られたとき。
1ヶ月に何百という古本を売っていたら、あなたは古物商です*2。
コピーや海賊版を売った場合
第二に、中古本ではなく、そのコピーを販売した場合も違法になりえます。
一方で、「古本の販売は著作権法違反になるのでは?」という声もありますが、違反ではありません。
たしかに、著作物を他人に譲る権利は著作権者にあります。
しかし、ちゃんと買った実物を売る場合は、その権利は消滅したものとみなします。
このルールは海賊版の販売差し止めを前提としているので、中古本には適用されないのです。
参考:著作権なるほど質問箱
フリマアプリなどでの節度を超えた転売は、無許可の古物商とみなされます。
海賊版の販売は違法ですが、正しく購入した中古本の転売は合法です。
古物商の意義:文化の保存
古物商の役割、それはいらないものを売るだけではないと思います。
人々が使っていたもの、ひいては文化を保存する役割があります。
奇しくも、この記事を書いた当時、「ハードオフ」に珍しい電化製品が置いてあることが話題になっていました。
ハードオフの店員でも正体がわからなかったジャンク品がTwitterの力によって特定され始める「Twitterすげぇ」 - Togetter
古物商がいなければ、こうした古い電化製品は処分されて、失われていたでしょう。
古物を扱ってくれる人たちに感謝したいですね。
*1:個人がフリマアプリ上で古物商を営んでいると判断される場合は、古物商許可が必要です。