テストの英作文と違う 文法よりも内容重視
学校のテストとは異なる、長めの英作文。
コンペに挑戦したい高校生や、大学で必要という学生もいるのではないでしょうか?
長い英作文は、文法を守っているだけではうまく書けません。
英語として正しいかではなく、内容で勝負する必要があります。
そこで、英作文を助けるツールを紹介したいと思います。
テクニック上の注意点も書き残しておきます。
教員・審査員が求めているトーンを知る
あなたの書く作文には、どのようなトーンが求められているでしょうか?
それを確認するには、過去の作品を見るのが一番です。
コンクールなどでは、ウェブサイトから過去の受賞作品が読めるかもしれません。
学校の課題なら、先輩の書いたものを読めないか、先生に聞いてみましょう。
さて、具体的にどのようなトーンがあるでしょうか?
- お題に沿って、実体験の感想を書くもの
- 小学生のように柔らかい文体で書くもの
- 世の中の問題を学術的に論じるもの
- 論文のような硬い文体で書くもの
のように、いろいろなトーンが想定されます。
この記事の後半では、下の2つのようなトーンを想定し、書き方のコツを紹介していきます。
上の2つは、この記事では扱いませんが、次に紹介するツールが利用できます。
英作文で失敗しないツール
DeepL翻訳:スラングまで自然に
翻訳サイトとして注目されているDeepL。
先に断っておきますが、自動翻訳した作文をそのまま提出したら、確実に落選・落第します。
そのDeepLがほかと大きく違うのは、スラングや若者言葉が入った文でも自然に訳してくれる点です。
文脈に応じて、単語の意味を正確に訳します。
語句や節の関係性が複雑な文章にも対応できます。
とはいえ、万能ではありません。
現状は、自分の書いた英文は意味が通っているか、確かめるのに使いましょう。
英語で書かれた資料を読む際の参考にもなります。
無償版では、(使用後のデータ消去などの)セキュリティを保証されていません。
秘密の情報や個人的な内容を書かないよう、注意が必要です。
Grammarly:文法のミスを検出
DeepLで英訳すれば、完璧な英文が書けるのか?
いいえ。
実際には、文章としての体裁を整える必要があります。
そこで役立つもののひとつが、Grammarlyです。
これは文法を自動添削してくれるツールです。
- あなたの英文全体を点検し、間違っていそうな語彙・語法・文法を検出します。
- 冠詞の抜けや時制・単数複数の不一致といった基本的なミスを教えてくれます。
- 口語を文語に直したり、よりよい単語を提案したりします。
- 高校までで習うような文法だけでなく、不親切な文も指摘してくれます。
学校によっては、有償版を団体で契約しているところもあるようです。
エッセイなどを提出する前の点検に使うのがよいでしょう。
DMM英会話なんてuKnow:プロの知恵袋
英会話の表現について、プロが答えてくれる質問サイトです。
「○○は英語でなんと言いますか?」という質問に答えてくれます。
知っている単語を組み合わせれば、英文は完成すると思っていないでしょうか?
そのようなことは決してありません。
細かい語法も重要なのです。
和英辞典には、ひとつの日本語に対応するさまざまな単語が載っています。
しかし、日本語の訳語は同じでも、意味や組み合わせる単語が異なる言葉も多いです。
「位置が高い」はhighですが、「背が高い」はtallです。
日本語でも「ご飯を食べる」とは言うけれど、「食事を食べる」とはあまり言わないでしょう。
辞書だけを見ると、そうした間違いを起こしやすいのです。
その他にも、
- マニアックや現代的すぎて、和英辞典に訳語がない言葉 (空き箱アート、チー牛など)
- 和製英語や、実は別の言語が由来の言葉 (シーチキン、アルバイトなど)
- 外国にはない日本独自の文化 (金継ぎ、方違えなど)
- 日本語独自の表現で、完璧な訳語がない言葉 (わびさび、ケレン味など)
にも注意が必要です。
英語表現に正解はありませんが、間違いはあります。
ネイティブやプロの講師の知恵に頼るのが重要です*1。
(宿題の問題をここに書くと、カンニングとみなされます。やめましょう。)
最終的には人間の手で
今回紹介したようなツールがあれば、読むに堪える英文が書けます。
しかし、完璧ではありません。
最終的には、あなたが整える必要があります。
Grammarlyを通してもなお、不自然な文は残ります。
人間が自然に読めるように、文章の順番や接続詞を変えるのも大切です*2。
ずさんな官僚のような英文を書かないようにしましょう。
英語の作文の注意点
文語体と口語体
コンクールや大学などで扱う英語の作文は正式なものです。
格式張った文体で書くべきです。
日本語と同じように、英語にも文語と口語があります。
- 文語:正式な文書で使われる言葉。
- 口語:日常会話や、正式ではない場面で使われる言葉。
例えば、日本語の新聞や教科書で「〜って言ってる」という表現はあまり見ません。
正式な作文では、「〜と主張している」のように、格式張った文体が求められます。
英語でも、それは同じです。
エッセイ(小論文)は文語体で書くのが、より適切です。
和英辞典を参照する場合は、「文」「正式」などと書かれた単語を選ぶとよいでしょう。
たしかに、減点方式の英作文なら、口語体で落とされる可能性は低いです。
でも、英語でエッセイを書く課題を出された場合は、文語体を意識しましょう。
単数・複数の統一
ヒト・モノについて書くとき、単数・複数のどちらにするか?
それは全体的に統一したほうがよいでしょう。
ジェンダーの問題もあるため、基本的には複数形をおすすめします。
というのも、英語では伝統的に、性別を特定しない単語をhe/his/himの人称代名詞で表現してきました。
A student should bring his textbook.
このhe/his/himは女性を排除する不適切な表現だ、という考え方があります。
Students should bring their textbooks.
のように複数形にすれば、ジェンダーの問題を解消できます。
具体的な男性・女性1人を取り上げる場合は、he/sheを使います。
その際の注意点は後述します。
時制の統一:基本的に現在形
同じ時を表す文は、同じ時制で統一して書きましょう。
明らかな過去・大過去を示す文でなければ、現在形を使います。
過去の文献を要約する際も、現在形です。
(日本語の「〜ている」に引っ張られ、進行形にしないように気をつけましょう。)
例:"Sato maintains that. . . "
過去・未来に言及するとき、もしくは現在に話を戻すときは、冒頭に時間を明記すると親切です。
読者には、あなたの脳内のメモや年表は見えていません。
一人称と二人称はなるべく使わない
学術的なエッセイでは一人称・二人称はほぼ登場しません。
原則として、「私は思う」などと言ってはいけません。
とはいえ、小論文はあなたの意見を示すものです。
代わりに形容詞や副詞を使って、ポジティブ・ネガティブに文を修飾しましょう。
例:The Great East Japan Earthquake had tremendous consequences on Japan's economy.
この場合は、Tremendous (甚大な)によって、あなたが日本経済への影響をどう受け止めているかを表します。
二人称を含む文章は、三人称に書き換えましょう。
不適切な例:In Japanese houses, you must remove your shoes.
適切な例:In Japanese houses, people must remove their shoes.
エッセイの中で読者に問いかけをするのはアリです。
その場合も、you/your/yoursを使ってはいけません。
固有名詞の使用:人称代名詞は分かりづらい
登場人物の多い文は読みづらいです。
人称代名詞he/she/theyが誰を指すのか、分かりづらくなります。
これらを多用すると、「Heって何をした人だっけ?」「今○○しているのは誰?」となってしまうでしょう。
そこで、あえて人称代名詞を使わず、人物名をそのまま書くことをおすすめします。
英字新聞でも、初出の人物の紹介をしたあとは、その人物を名字(Mr./Ms.などは不要)で呼んでいます。
指している人物が明確な場合(同じ文中)は、代名詞を使っても混乱しないでしょう。
3人以上の人物が同時に登場するような構成は混乱を招きます。
それぞれの段落を分けるなどして、わかりやすくしましょう。
名詞化:代名詞を使わない表し方
概念やモノの名前は、別の言葉で言い換えます。
単語の言い換え方は、類語辞典を参照するとわかりやすいです。
例:this concept, the theoryなど
1つの文に複数の内容を入れたいときは、名詞化をしましょう。
形容詞+名詞、名詞 of 名詞がよい例です。
そうすることで、文が読みやすくなります。
例:The government could reduce the budget(政府は予算を減らす可能性がある。).
The potential reduction of the budget (起こりうる予算の削減)
これを主語・目的語として利用します。
その場合、接続詞や関係代名詞を使わずにすみます。
学校では難しい構文も習いますが、それを使う必要はありません。
英語はあくまで言語であり、伝えるための手段です。
スマートに主語を消し、読みやすい文を心がけたいですね。
素で英文を書く場面は限定的
「何も見ずに長めの英文を書かなければならない」
そのような機会はなかなかありません。
- 資格試験で英作文を書くとき
- 海外の学校に留学して、英語を使って試験を受けるとき
- 日本語を話さないビジネスパートナーとリアルタイムのやりとりをするとき
など。
大学では、辞書・ノートが持ち込み可能な試験もあります。
英語の通訳の中には、想定されるやりとりや用語のメモを用意している人もいます。
自然に正しい英文を書けたら、それに越したことはありません。
でも、作文の目的は内容を読ませることです。
難しい部分は、プロや文明の利器に頼ることをおすすめします。