人生わりかし後悔しています。

中高生、中高一貫校の生徒、浪人生、大学生、その親などに向けたブログです。学習や受験に関すること、塾や予備校のこと、引越しや一人暮らしのことなどについて書きます。

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予備校の小論文講座はどんなことをやるの? そもそも小論文って?

小論文に妙案は必要ない。自分の意見をまとめる方が大事。

Photo via kaboompics

 

小論文講座でやることの(あくまで)一例

夏期講習も近いということで、予備校の小論文講座について書きたいと思います。

 

 

AO・推薦入試や国公立の後期試験、あるいは一部の私立大学の一般入試では、小論文が課されます。

 

文章や資料を読んで、または読まずに数百字〜千数百字の短い意見を書きます。

普通の論文はそれよりはるかに長いので、小さな論文=小論文と言われるわけです。


この小論文試験自体の所要時間は長いのに、予備校の小論文講座は他の授業と変わらない時間で行われています。

その中で解説もしなければならないとはどういうことでしょうか?

 

これは、小論文講座特有の授業形態が関係しています。詳しくは以下で説明します。

 

(この記事では筆者が通っていたある予備校の例を使用しています。別の予備校では違う可能性もあります。)

 

 

 

小論文の問題とは?

小論文試験では、トピックを与えられ、そのことについて意見を述べることを求められます。

 

小論文を使って意見を述べることは学部での学問の基本になりますから、他の5教科よりも大事です。

文章や資料(グラフや表)を読んで著者の主張を要約することも求められ、そこから自分の意見に繋げることが本題になります。

 

本題にあたる意見表明とその説明が厄介です。

 

もちろん、資料自体にも説明は書かれていますが、ある程度の背景知識がないと自分の言葉で説明し直すことはできません。

理数系の科目で、数や操作の内容が書かれていても、公式や定理がないと問題を解けないのと同じです。

 

小論文が書けないと、論文も書けない。

 

小論文の構成

まず、序論として意見表明を行います。

普通の論文では、序論で背景を説明し、意見表明することが求められますが、試験小論文では意見表明をするだけで構いません*1

 

次に、その意見を述べる根拠を文字数に応じて複数用意し、説明していきます。

根拠と意見をまとめた上で、最終的に今後の展望や代替案を述べていきます。

 

例えば、政策系の論文ではトピックの是非(文章に書かれた意見に同意するか、同意しないか)を示した上で、同意しないならどのような政策が望ましいかを書かなければなりません。

 

具体的な書き方

あまり政治的な内容にするとカタくなってしまうので、ありえない例を出しましょう。

 

「人間とアニメキャラクターとの結婚を認めるべきである」という文章があり、受験者には要約をし、賛成か反対かを示した上でその理由を述べることが要求されています。


このとき、まず、「著者によれば、〜。」という形で要約します。

その上で、「私は著者の主張に賛成する。幸福追求の観点から人間とアニメキャラクターの結婚は認められるべきである。」

または「私は著者の主張に反対する。結婚は人間の男女の合意においてのみ行われるべきである。」というような意見表明を行います。

 

それから、意見表明に書いた「幸福追求」とか「人間の男女の合意」というようなことを細かいポイントに分けて説明します。


最後には、主張を再提示し、主張を実現に持ち込むためにどうすれば良いか、あるいはその主張がどれだけ重要か(例えば、合計特殊出生率の低下などの統計値)を示します。

もしくは、トピックに関する格言や聖典の文言を引用することも可能です。

 

他にも締め方はありますが、この辺りが妥当でしょう。

ただし、政策系の学部で聖書の文言を使って締めたら落ちると思います。流石に政策を示しましょう。

 

妙案はいらない

受験小論文で求められているのは全く新しい妙案ではなく、意見をまとめ、論理的に主張する力です。

なので、思いつきでなんでも書いてしまうのではなく、前例に沿ったほうが無難です。

 

つまり、全く新しいことを考えるのではなく、これまでに読んだ本や聞いたことなどの知識の引き出しから、根拠や主張をひねり出します。

いくら斬新なことを書いても、文章がまとまっていなかったら意味がありません。

 

小論文は意見表明をし、その根拠をまとめるもの。

受験小論文では、新説や妙案は求められていない。

 

小論文講座の内容

小論文講座は講評と解説が中心。先生が帰るまでに答案を書く。

Photo via pixabay

 

では、どうすれば論理的な文章が書けるのか?

それが予備校の小論文講座が教える部分です。

 

小論文講座の内容は、少なくとも時間をまるまる使って小論文を書くことではありません。

最初の時間、あるいは授業時間のほとんどを講評と解説に使います。

 

前述の通り、小論文は背景知識がないと解けませんから、事前に、あるいは返却後に背景を説明する必要があります。

なので、資料が用意されている場合は資料を交えながら、授業で使用したトピック(=その学問を志す上で知っておいたほうがよいこと)に関する解説がなされます。

 

いつ小論文を書くのか

小論文を書くのは、講義終了後の残り時間と授業時間終了後の時間です。

 

講師が別の校舎に行かなければならない場合もあるため、タイムリミットが設けられます。

逆に言えば、書き終わるまで帰れません。

 

私がいた予備校の場合は、説明が終わると同時に講師は講師室に戻りましたが、質問は講師室で受け付けてくれました。


お察しの通り、試験時間内に書き終わるための練習はしてもらえないので、自分で時間を測って過去問に挑戦し、それを添削してもらうしかありません。

 

休暇中の講習を受けているだけの生徒は受け付けてもらえるかわかりませんが、多分大丈夫です。書いた小論文は講師によって採点・添削され、次回の講義で返却されます。

 

講座の限界は

小論文講座では、知識や小論文の書き方を教えてくれますが、知識の組み立て方や増やし方までは教えてくれません。

なので、参考文献を読み漁ることが求められてきます。

 

これは、短期的には受験勉強の邪魔ですが、長期的には無駄になりません。

本を読むにつれて読書に慣れてきますし、知識が増えて読みやすくなってきます。


それから、小論文を「暗記*2」してしまえば、「思考を停止しながら学問をする」という矛盾が生じます。

 

テンプレートを覚えるのではなく、自分の頭の中に保存された情報と文章・資料を組み合わせて論文を書くことが求められるのです。

仮に暗記だけで小論文を書いて合格しても、入学後に躓いたら意味がありません。

 

小論文講座は授業時間に解説をし、受講生は提出のタイムリミットまでに書き上げる。 

本番同様の時間制限はない。

細かい知識は自学自習で補う。

 

ICU対策にも 小論文講座が役立つ

ICUの一般入試対策をしてくれる大手予備校はありません。

ICU専門の塾や通信教育だけを受ける浪人生は無職になります。

 

だから、私は予備校の小論文講座で知識を蓄え、文章を読む力をつけました。

 

私が受けた2011-2012年度の入試と試験の方式が変わっていますが、基本的なところは同じだと思います。

仕上げぐらいは専門塾や通信教育に任せてよいと思いますが、全部を委ねようとすると流石にリスキーです。


ちなみに、大手予備校の多くは専修学校なので学生扱いです。

一方で、塾は学校ではないので学生にはならず、定期券などの学割は使用できません*3

通信教育に関しても、ひとりで勉強できるか、予備校と掛け持ちできるかなど自分のキャパと相談して選択してください。

 

小論文講座で知識を蓄えれば、ICU対策になる。

専門塾や通信教材は学生の身分が得られないリスクがある。

 

*1:要約した上でという制限がある場合は、背景説明の代わりに要約をします。

*2:小論文は小学校の三角形の面積のように、決まった方法で答えを求める問題ではありません。特に、知識は文脈を汲み取ってから使いましょう。南北問題についての説明を求めているのに、ウェストファリア条約の成立から順々に説明していったら、確実に制限字数に収まりません。質問に合わせて必要な知識を選んで説明を組み立てましょう。

*3:学割が欲しければ、学校法人である予備校を探しましょう。休暇中の短期講習を受けている場合も学割はありません。

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